糸のみほとけ

この展覧会は綴織當麻曼荼羅の修理完成を記念し、綴織と刺繡による仏の像を一堂に集める特別展です。天寿国繡帳、綴織當麻曼荼羅、刺繡釈迦如来説法図の国宝3点が一堂に会する空前の企画です。

曼荼羅とは仏教の中でも特に密教で考えられている世界を絵柄で表したものを言います。曼荼羅には幾つかの種類があり、宗派などによってその絵柄や世界観には違いがあります。高野山を始め多くの真言宗系の寺院にある「金剛界」「胎蔵界」曼荼羅や、今回の展示物である當麻曼荼羅はその中でも特に有名です。

会期・会場

会期 平成30年7月14日(土)~8月26日(日)

休館日 毎週月曜日 ※ただし7月16日・8月13日は開館

会場 奈良国立博物館

當麻寺とは

今回のメイン展示物である綴織當麻曼荼羅を本尊と祀る寺院が當麻寺です。當麻寺は、白鳳・天平様式の大伽藍を有する古刹です。金堂の弥勒仏や四天王、梵鐘などの白鳳時代の文化財や、創建時の三重塔が東西一対で残る全国唯一の寺でもあります(現在修復中)

當麻寺はこちらで詳しく紹介しています。



主な出陳品

【国宝 綴織當麻曼荼羅】

綴織 縦396.0cm 横396.6cm
中国・唐または奈良時代(8世紀)

奈良時代、中将姫の祈りによって、蓮糸を使い一晩で織り上げた中将姫伝説に登場する、わが国の浄土信仰の核となった曼荼羅です。図様は極楽浄土の様子を中心に『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)』を絵解きする内容で、多数の色糸を用いた緻密な織りによって、約4m四方の大画面が表されています。かつて當麻寺の御本尊として祀られていました。

【綴織當麻曼荼羅 部分復元模造】

綴織 縦19.0cm 横23.0cm

製作当時の當麻曼荼羅を同じ手法で製作しています。熟練した織手でも1日に織れる大きさは3.5cm四方程度であり、幅23cm×丈19cmの部分復元模造品を織るのにほぼ40日かかります。4m四方の當麻曼荼羅を織るには8年ほどがかかることになります。

【国宝 天寿国繡帳】

紫羅地・紫平絹地 部分刺繡 縦88.8cm 横82.7cm
飛鳥時代(7世紀)

聖徳太子が亡くなり、お妃の一人である橘大郎女が太子の往生した世界を繡帳にすることを推古天皇に願い出、天皇が采女たちに刺繡させたのが天寿国繡帳です。現在は中宮寺に所蔵されています。刺繡糸の美しい部分と色あせた部分がはっきりしていますが、これは飛鳥時代と修復された鎌倉時代の刺繡片によるものです。




【国宝 刺繡釈迦如来説法図】

白平絹地 総繡 縦211.0cm 横160.4cm
奈良時代または中国・唐(8世紀)

中央の座に腰かける釈迦如来を中心に釈迦の左右に14人の菩薩が立ち、10人の僧侶と供養者たちが囲繞(いにょう)しています。釈迦の正面に立つ1人の女性は、釈迦の生母である摩耶夫人(まやぶにん)に充て、夫人が往生した忉利天(とうりてん)において釈迦が説法する場面とする説などがあります(諸説あり)。近年の修復により、緑色の部分や過去に間違った修復をしていた箇所を訂正するなど、より往年の姿に近づきました。

【刺繡當麻曼荼羅】

刺繡部分:縦375.0cm 横344.0cm 彩絵宝相華文部分:縦412.0cm 横399.0cm
江戸時代 明和4年(1767)

綴織當麻曼荼羅と同じサイズで製作されていますが、こちらは綴織ではなく刺繍の曼荼羅です。阿弥陀如来と脇侍の観音、勢至菩薩は金糸を密に並べて刺繡し、眼と白毫には水晶を嵌めているのが最大の特徴です。江戸時代の刺繡は様々な技法が併用されており、本品も金糸の駒詰繡(こまづめぬい)(阿弥陀三尊)、刺(さ)し繡(ぬい)(蓮華など)、平繡(ひらぬい)と菅暈(すがぼか)し(菩薩の顔や身体など)などを見ることができます。




【中将姫坐像】

木造 彩色 像高73.3cm
室町時代 永禄元年(1558)

奈良時代に當麻寺で出家して尼僧(にそう)となり、蓮糸で曼荼羅を織り上げて極楽往生を遂げたとされる中将姫の像です。像内の墨書から永禄元年(1558)に宿院仏師(しゅくいんぶっし)の源三郎が製作したと判明しています。戦国騒乱期に中将姫信仰の高まりを背景に製作された記念碑的な像であり、仏道をこころざした中将姫の清廉(せいれん)なイメージを具現化した作品です。

なら仏像館

なら仏像館は、飛鳥時代から鎌倉時代にいたる日本の仏像を中心に、国宝、重要文化財を含む常時100体近くの仏像を展示する、国内の博物館では、もっとも充実した仏像の展示施設です。



アクセス

奈良国立博物館

<住所> 奈良県奈良市登大路町50番地

<電話> 050-5542-8600

<入山時間>
9:30~17:00

<駐車場> 周辺に民間の駐車場あり

自動車をご利用の場合

名古屋方面から
西名阪自動車道・天理I.C.から国道169号線を北へ約15分。

大阪方面から
第二阪奈道路・宝来I.C.から国道369号線を東へ県庁を越えて約1分。
西名阪自動車道・天理I.C.から国道169号線を北へ約15分。

京都方面から
京奈和自動車道・木津I.C.から国道24号線を南へ、国道369号線を東へ約1分。

電車をご利用の場合
近鉄奈良駅下車 登大路を東へ徒歩約15分
JR奈良駅または近鉄奈良駅から市内循環バス外回り「氷室神社・国立博物館」バス停下車すぐ