橘寺
橘寺
聖徳太子誕生の地と知られる国内屈指の古寺です。のどかな明日香村を象徴するような稲田の中に建つお堂の姿は秋の収穫時期には多くの人が写真を撮りに訪れます。また境内にある二面石は必見です。新西国三十三箇所第10番札所です。
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歴史
創建年代は不明で、聖徳太子が誕生したとされる場所が近くにあります。聖徳太子が父である用明天皇の別宮を寺に改めたのが始まりと伝わりますが、詳細は不明です。太子建立の7カ寺の一つとされ、8世紀には66もの堂宇が立ち並ぶ大寺院で四天王寺式伽藍または山田寺式の伽藍配置をとっていました。
室町時代に多武峰の衆徒によって全山焼き討ちされ衰退していきました。現在は江戸期に再建された本堂(太子殿)など、わずかな諸堂を残すのみとなっています。堂内には室町時代作の本尊・聖徳太子像(重要文化財)を安置しています。
田道間守と橘
橘寺という寺名は、垂仁天皇の命により不老不死の果物を取りに行った田道間守が持ち帰った橘の実を植えたことに由来します。
日本書紀によると、11代垂仁天皇の時、勅命を受けて常世の国(中国雲南省か?)へ不老長寿の薬を求めに行った田道間守が、10年の長い間苦労してようやく秘薬を捜し求め、持ち帰ったところ、天皇は既にお亡くなりになっていました。
この時に持ち帰ったものを「非時香果(トキジクノカグノコノミ)」といい、この実を当地(橘寺)に蒔くとやがて芽を出したのが橘(ミカンの原種)で、それからこの地を橘と呼ぶようになったと伝えられています。
また、黒砂糖をも持ち帰り橘と共に薬として用いていたので、後に蜜柑・薬・菓子の祖神として崇めら祭られるようになりました。菓子屋に橘屋の屋号が多く用いられるのは、この縁によるものです。
二面石
全体
右側:善面
左側:悪面
二面石とは右側の顔が善面、左側の顔が悪面と呼ばれ、私たちの心の持ち方を現したもので飛鳥時代に造られたとされています。明日香村周辺にはこのような石造物が多数存在し、その多くが謎に包まれています。
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境内の様子
【本堂】
元治元年(1864年)に再建された建物で、本尊として三十三歳聖徳太子坐像が安置されています。その他にも不動明王像、聖徳太子像、田道間守などが安置されています。
【観音堂】
安永6年(1777)に本堂として再建されました。その後元治元年(1864年)に本堂が再建されたため、慶応元年(1865)に現在地に移動し、観音堂として如意輪観音像を安置しました。
堂内には古瓦や古い資料が展示され、写経体験もできます。
【蓮華塚】
勝鬘経ご講讃の折に降った蓮の華を埋めたところで、大化の改新時に一畝(100平方メートル)の基準にしたので畝割塚とも言われます。
【三光石・阿字池】聖徳太子が作られたとされる池です。
【五重塔跡】
落雷で焼失。塔心礎(心柱の礎石)が僅かに往時を偲ばせます。心礎の柱孔は円柱の周囲三方に添柱を付した形のものです。飛鳥時代の創建時には約40mの高さがあったとされ、法隆寺五重塔より高いとされます。
【その他境内の様子】
阿弥陀堂
鎮守社
金堂跡
回廊跡
天井絵
鐘楼
春・秋の特別公開
毎年春の秋に聖倉殿(宝物殿・収蔵庫)が特別に公開され、数々の寺宝を拝観することができます。
【伝・日羅上人立像】
重要文化財 檜材 一木造 像高:144.6cm 制作年代:平安時代
平安時代の特徴でもある体の厚みや下半身がどっしりとした仏像です。足下の受花まで一材から彫出されています。伝えでは聖徳太子の師であったとされる日羅上人立像ですが、地蔵菩薩立像として造立されたとも考えられています。保存状態は良好と言えますが、両手首から先は別材の後補です。
彼岸花の名所
橘寺は彼岸花の名所として知られ毎年開花時期には多くの人が訪れます。また明日香村全体が彼岸花の名所ですので各地で彼岸花を楽しむことが可能です。
開花時期:9月中旬〜9月下旬
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年中行事
1月1日 11時〜 | 修正会 |
2月3日 11時〜 | 星祭り |
4月6日〜5月6日 | 聖倉殿(宝物殿・収蔵庫) 春の特別公開 |
4月8日 10時〜 | お花祭り |
4月21日 13時〜 | 報恩法要・百味飲食 |
5月3日 11時〜 | 橘祭 |
9月中旬 | 飛鳥光の回廊 |
10月5日〜11月4日 | 聖倉殿(宝物殿・収蔵庫) 秋の特別公開 |
10月20日 13時〜 | 報恩法要・百味飲食 |
12月31日 23時〜 | 除夜の鐘 |
近くのおすすめスポット
【川原寺(弘福寺)】
橘寺の向かい側に建つ寺院で、かつては大寺院でしたが、現在は本堂だけの小さな寺院となっています。周りには多くの礎石が残り往時の姿を想わせます。日本で初めて写経が行われた場所としても知られます。
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【板蓋神社】
川原寺の奥にひっそりと佇む八幡宮、板蓋神社(いたぶき)です。70段ほどある階段の上に建ちます。神社の由緒等は不明ですが、その名前から板蓋宮との関わりが強いと考えられます。
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【かえる石】
長さ3.6メートル、幅2.1メートル、高さ1.8メートルの巨大な花崗岩の自然石に、亀に似た彫刻がほどこされています。 亀石は、以前は東向、現在は南西を向いていますが、西の方を向いたとき、大和一円やは泥の海と化す、という伝説があります。
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アクセス
<住所> 高市郡明日香村橘532
<電話> 0744-54-2026
<拝観時間> 9:00~17:00(受付 16:30まで)
<拝観料> 350円
<駐車場> 無料駐車場あり
電車・バスでお越しの場合
近鉄 橿原神宮前駅又は飛鳥駅下車、明日香周遊バス 川原または岡橋本下車 徒歩3分