毘沙門天 -北方鎮護のカミ-(奈良国立博物館)



毘沙門天 -北方鎮護のカミ-

四天王の一体である多聞天は世界の四方にいて、北方を守護します。多聞天は四天王で唯一「毘沙門天」の別名もあり、単独の像としても造像、信仰される特別な存在です。奈良時代から鎌倉時代までの全国の毘沙門天像が一堂に会するこの展覧会ではその時代の特徴や地域による造形の違いなど毘沙門天彫像の魅力を存分に味わうことができます。

また同時開催のお水取り展も必見です

お水取り展

速報 コロナウイルスにより中止

奈良国立博物館は新型コロナウイルス感染拡大防止のため本展覧会は中止となりました。

前売りチケットに関しては返金に応じるようです。

会期・観覧料

【会期】令和2年2月4日(火)~3月22日(日)

【会場】奈良国立博物館 東新館・西新館

【休館日】毎週月曜日、2月25日(火)※2月24日(月・振休)は開館

【拝観料】大人1,500円、大学生1,000円、小中学生500円

奈良国立博物館についてはこちら↓↓

奈良国立博物館



主な出陳品

今回の主な出陳品です。一般的な毘沙門天像からそうでない像まで様々な毘沙門天が見られます。※画像はポストカード・図録より

【毘沙門天立像】朝護孫子寺(奈良)

わずか17.2cmの銅造の毘沙門天像です。非常に可愛らしい姿が特徴的で、憤怒の形相が多い毘沙門天像では非常に珍しい仏像です。

史料によると信貴山朝護孫子寺を中興した僧・命蓮は寛平年中(889〜98)に初めて信貴山に登り、小堂を建立して毘沙門天像を安置したとされています。

重要文化財双身毘沙門天立像 】浄瑠璃寺(京都)

馬頭観音菩薩立像の修理時に、像内から発見された毘沙門天像です。平安時代の仏像とさてますが、像内にあったからか本尊状態が良く、色彩がはっきりと残ります。

二体の口辺から垂下する紐のようなものは「牙」であり、ともに両腰脇を通って反対側の像のそれにつながっています。

国宝毘沙門天立像 】東寺(京都)

かつて平安京の羅城門の楼上に安置されており、門の顛倒の後、東寺に移されたと見られています。

正面に鳥形を表した四面の宝冠をかぶり、腕には海老籠手と呼ばれる輪を連ねたような防具を着け、長い外套状の金鎖甲といわれる甲をまとう姿は他の毘沙門天像とは一線を画す美しいスタイルの毘沙門天像です。

勝敵毘沙門天立像】東大寺(奈良)

二体の武装天部形が背を接し、各一体の腹ばいになった邪鬼の上に立っています。奥の仏像は、宝塔と宝棒を、手前の仏像は羂索と戟を執ったと見られます。口から伸びている紐状に見えるものは「長い牙」で、二体のそれが連続しています。

秘密修法の本尊となる尊像です。



【毘沙門天坐像】常光寺(奈良)

西大寺の末寺常光寺に安置される仏像です。左手には宝塔を捧げ、右手には宝棒を持ち、左脚を垂下させて岩座に坐します。立ち姿が多い毘沙門天像ですが、こちらは坐像と大変珍しい姿です。

常光寺では毎年6月6日に秘仏「歓喜天」が開扉されます。

【毘沙門天立像】放光寺(山梨)

本像は放光寺を現在地へ移した安田義定の墓所を背にして建つ毘沙門堂に安置されます。手足が非常に細身でありながら動的な姿勢であることが特徴的な仏像です。

また他の毘沙門天像とは違い人間のような風貌であることも特徴の一つです。兜は別に作られているため、取り外しが可能です。※図録には取り外した姿も掲載されています。

【毘沙門天立像】個人(アメリカ)

アメリカ・ロサンゼルスの美術館に寄託された仏像で高さ2mを超える巨大な毘沙門天像です。兜正面、肩、腹に表された龍や獣の面、各所の装飾性豊かな彫りが特徴です。

かつては島根県の岩屋寺の仏像で、古写真には両脇に吉祥天像と善膩師童子像を配した三尊像でした。現在、吉祥天像と善膩師童子像は所在不明です。

【尼藍婆坐像】三熊野神社(岩手)

こちらは毘沙門天像ではなく、本来ならば毘沙門天像の足下の地天女の左右に配された尼藍婆ですが、こちらの毘沙門天像は5m近い非常に大きい仏像であったため足下に配されず、独立して造られました。

対となる毘藍婆とともに両腕を交差させ斜め上を見上げます。



なむあみだ仏っ!-蓮台 UTENA-パネル展示

オンラインゲーム「なむあみだ仏っ!-蓮台 UTENA-」登場キャラクターの等身大パネル(毘沙門天および四天王)を、奈良国立博物館地下回廊(観覧無料)で展示しています。記念撮影も可能です。

関連地

今回の展覧会の所蔵している寺院を一部紹介します。博物館で見た後、また寺院で見ると一味違った印象になるかもしれません。※毘沙門天像は常に公開されているとは限りません。

【朝護孫子寺】

本尊を毘沙門天とする奈良県屈指の毘沙門信仰の強い寺院です。漫画のルーツとされる国宝:信貴山縁起絵巻や張り子の寅が有名です。また2月末まで本堂にて中秘仏「毘沙門天像」が公開されています。

詳しくはこちら↓↓

朝護孫子寺

【東大寺】勝敵毘沙門天立像

世界遺産「古都奈良の文化財」の一部として登録されています。「奈良の大仏さん」と親しまれた盧舎那仏(大仏)を本尊とし、大仏を安置する金堂(大仏殿)は世界最大級の木造建築物として有名です。

詳しくはこちら↓↓

東大寺

【常光寺】

大聖不動明王三尊像(県指定文化財)を本尊とする寺院です。寺宝に宝山寺の住職・宝山湛海が製作した本尊や掛軸などがあり、宝山寺とゆかりある寺院です。毎年6月6日に秘仏公開があります。

詳しくはこちら↓↓

常光寺

【浄瑠璃寺】双身毘沙門天立像

奈良県と京都府の県境にある真言律宗の寺院です。住所は京都府ですが、古来より南都仏教の聖地として栄えたため奈良の文化が色濃く残ります。国宝の建造物に国宝の仏像など静かな境内でありながら見どころ盛りだくさんの寺院です。

詳しくはこちら↓↓

浄瑠璃寺



近くのおすすめスポット

【氷室神社】

国立博物館の向かい側に鎮座しています。氷の神社として知られる氷室神社は昨今、奈良県のかき氷ブームの火付け役となっており、かき氷の聖地のように思われる方もいるそうです。最大の行事は5月1日に行われる「献氷祭」です。

詳しくはこちら↓↓

氷室神社

アクセス

<住所> 奈良県奈良市登大路町50番地

<電話> 050-5542-8600

<入館時間> 9:30〜17:00 ※毎週金・土曜日は午後7時まで

<駐車場> 周辺に民間の駐車場あり

自動車をご利用の場合
名古屋方面から 西名阪自動車道・天理I.C.から国道169号線を北へ約15分。

大阪方面から 第二阪奈道路・宝来I.C.から国道369号線を東へ県庁を越えて約1分。 西名阪自動車道・天理I.C.から国道169号線を北へ約15分。

京都方面から 京奈和自動車道・木津I.C.から国道24号線を南へ、国道369号線を東へ約1分。

電車をご利用の場合
近鉄奈良駅下車 登大路を東へ徒歩約15分 JR奈良駅または近鉄奈良駅から市内循環バス外回り「氷室神社・国立博物館」バス停下車すぐ



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です