松尾寺
矢田丘陵の南端に位置する松尾寺は日本最古の厄除け霊場と知られ、毎日多くの方が厄除けに訪れます。また中世以降は法隆寺の北にあることから法隆寺別院とも呼ばれていました。また室町時代以降は修験道と寺院としても栄えました。毎年春にはバラ、夏にはカサブランカが境内を彩ります。
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松尾寺の歴史
718年、天武天皇の皇子舎人親王が、勅命による日本書紀編纂の折、42歳の厄年であったため、日本書紀の無事完成と厄除けの願をかけて建立された日本最古の厄除霊場です。
親王が松尾山に参詣修行し、ご祈願の養老2年2月初めの午の日、東の山に紫の雲たなびき(瑞雲)、千手千眼観世音菩薩が天降りご出現なされたという「松尾山縁起」により、国運隆昌・国体安穏を祈祷申し上げる勅願寺として、歴代皇室の御叡信厚く、後水尾天皇も御持仏の如意輪観音を下された由緒ある寺です。
本堂
本堂(重要文化財)
1337年に再建された建物で中世の真言宗本堂の典型的な建築です。内陣では、毎日厄除のご祈祷が行われ、厄年をはじめすべてのやくよけのご祈祷が厳修されます。
内陣には本尊千手千眼観世音菩薩(やくよけ観音)は秘仏で、年に一度11月3日に開扉されます。
秘仏本尊:千手千眼観世音菩薩
本尊:千手千眼観世音菩薩 木造
現在の本尊です。かつての本尊は焼けてしまいその原型は止めておらずその見た目からトルソーと呼ばれておりこちらも秘仏になっています(後述)。
その名の通り、千の手と千の目を持った仏像で、図り知ることの出来ない広大な慈悲の力を備えられ、殊に霊験あらたかと伝わります。
本尊公開日
毎年11月3日
秘仏:トルソー
木造 像高188cm、制作年代8世紀
当初は240cmはあっただろうと思われる一木彫成像で、旧本尊と推定されています。
胸部のくびれた形姿や、胸を後ろに引き腹部を前に突き出す弓なりの側面観によって、菩薩形立像だったと想像されます。
トルソー公開日
9月1日~11月10日
舎人親王
舎人親王(676〜735)
天武天皇の皇子として生まれます。日本に伝存する最古の正史、『日本書紀』を編纂した人物と知られています。さらには万葉集にも3首の和歌が残るなど歌人としての一面もありました。松尾寺の他にも同じ大和郡山市内にある東明寺も舎人親王による開基とされています。
舎人親王像公開期間
4月1日~11月30日
三重塔
高さ:約15m 本瓦葺 明治21年
寺伝によると承和2年(835)の創建とされますが、詳しいことは分かっていません。鬼瓦に正徳3年(1713)の銘があり、旧材も一部に再用されています。
後水尾天皇持仏であった如意輪観世音菩薩が寄進され、祀られています。
現在は拝観不可
松尾山神社
主祭神:松尾大明神、清滝権現、牛頭天皇
松尾寺の境内にあり松尾山山頂付近に鎮座しています。松尾寺の地主神として祀られていますが、創建年代は不明です。神社境内から奈良時代の鎧瓦などが発掘されており、松尾寺の創建が奈良時代であることを決定づけるものとなりました。
その他境内の様子
閼伽井屋
神霊石の大岩
南惣門
揚谷観音堂
阿弥陀堂
七福堂
行者堂
鐘楼
宝物殿
葛城御歳大明神、十九所大明神
松尾寺は山一帯が寺院と言っても過言ではなく、本堂だけでなく、行者堂や阿弥陀堂、十三重石塔などがあります。また本堂から下に降りると、収蔵庫や茶室、閼伽井屋があります。
行者堂には日本最大の役行者像が安置されています。
役行者像公開日
毎年9月1日〜9月7日修験道まつり期間
花の寺
毎年5月には境内のお花畑にてバラが、6月〜7月にかけてはカサブランカが一般公開されます。厄除け寺のイメージが強い寺院ですが、花にもかなり力を入れています。
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年中行事
1月1日〜31日 | 初詣・厄除開運祈願祭・松尾山七福神祭 |
1月3日 10時〜 | 歳旦祭 |
1月15日 9時〜 | 左義長(とんど) |
1月18日 9時〜 | 初観音 |
2月2日 | はつうま・厄除観音出現記念大祭(松尾寺修正会) |
2月3・4日 | 節分・立春厄除祭・松尾山七福神祭 |
2月14日 | 二のうま厄除祭 |
3月10日 | 松尾寺の初午厄除祭(修二会) |
3月22日 | 二の午厄除祭 |
4月1日〜11月30 | 日本唯一の舎人親王像 公開 |
4月18日 | 松尾山水子観音誕生祭 |
4月29日 9時〜 | 松尾山お花まつり満願日(やくよけ袈裟いただき) |
舎人親王676年誕生祭 | |
5月3日〜5月第4日曜日 | お花畑(バラ)一般公開 |
5月中旬〜6月初旬 | 松尾山の群生サツキ |
6月下旬〜 | カサブランカ回廊 |
9月1日〜11月10日 | 秋の寺宝公開 |
9月1日〜8日 | 松尾山修験道まつり(役行者像特別公開) |
9月13日 18時〜 | 松尾寺お月見 |
10月1日 10時〜 | 松尾山の秋祭 |
11月1日〜10日 | 厄除観音奉納書道展 |
11月3日 | 秘仏「厄除観音」特別開扉 |
11月15日〜25日 | 伝承地への紅葉狩り |
12月31日 23時〜 | やくよけ除夜祭 |
近くのおすすめスポット
【矢田寺】
あじさい寺で知られる矢田寺です。約60種、10,000株のあじさいが植えられており毎年6月にあじさいと秘仏が公開されます。現在は本堂・矢田寺北僧坊・矢田寺大門坊・矢田寺念仏院・矢田寺南僧坊の4つの僧坊を総称して矢田寺と呼ばれています。
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【東明寺】
矢田丘陵の中腹にある東明寺です。「日本書紀」を編纂した舎人の親王の開創とされます。矢田村の惣鎮守である矢田坐久志玉比古神社の神役を勤めていたことも知られています。6月1日〜6月15日まで「本尊・寺宝特別開扉」が行われています。
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【慈光院】
奈良県には珍しい禅寺で庭園に力を入れている寺院で、大和三大庭園の一つです。木々に囲まれており、庭園を眺めながら抹茶をいただけるのんびりとした空間が人気です。また予約制ではありますが、精進料理もいただけます。
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アクセス
<住所> 奈良県大和郡山市山田町683 松尾山
<電話> 0743-53-5023
<入山時間> 9:00~16:00
<拝観料> 境内自由
<駐車場> 無料駐車場あり 100台
自動車をご利用の場合
奈良県道123号を進んでいただくと松尾寺に至ります。
電車をご利用の場合
JR大和路線大和小泉駅東口から近鉄郡山駅行バス
または近鉄郡山駅から小泉駅東口行バス「松尾寺口」下車、徒歩約2km