當麻寺
當麻寺は、白鳳・天平様式の大伽藍を有する古刹です。金堂の弥勒仏や四天王、梵鐘などの白鳳時代の文化財や、創建時の三重塔が東西一対で残る全国唯一の寺でもあります。
本尊として祀られる「當麻曼荼羅」は、奈良時代、中将姫が目の当たりにした極楽浄土の光景を表したものです。
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當麻寺の歴史
創建は聖徳太子の弟・麻呂古王が建立した万法蔵院がはじまりで、白鳳時代に河内から當麻の地に移り、奈良時代に當麻曼荼羅が表され、平安時代には密教文化が栄えました。平安末の焼き討ちによる危機を経た中世以降は、中将姫伝説の広まりとともに曼荼羅信仰の寺として再興しました。近世には、真言宗に浄土宗が同居することも受け入れた珍しい寺院です。
中将姫伝説
當麻寺 中之坊HPより引用
藤原豊成とその妻の間には長い間子どもが出来ず、長谷寺の観音に祈願し、天平19年(747)中将姫を授かりました。しかし、母親は中将姫が5歳の時に世を去り、7歳の時に藤原豊成は、照夜の前を後妻としました。
中将姫は、美貌と才能に恵まれますが、その継母に妬まれるようになり、次第に命さえ狙われるまでになります。周囲の助けで命を長らえながらも、あえて継母を恨むことなく、14才の時、雲雀山へ逃れ、読経三昧の隠棲生活を送られました。
しかし翌年、豊成が見つけて連れ戻します。都に戻った中将姫は1000巻の写経をなしました。
天平宝字7年(763年)、16歳の時淳仁天皇より、後宮へ入るように望まましたが、これを断り、その後二上山の山麓にある當麻寺へ入り尼となり、法如という戒名を授かりました。
26歳で長谷観音のお告げにより、『当麻曼荼羅』を織り上げました。仏行に励んで、徳によって仏の助力を得て、一夜で蓮糸で『当麻曼荼羅』を織ったとされています。これが国宝・当麻曼荼羅です。
宝亀6年(775年)春、中将姫は29歳で入滅しました。阿弥陀如来を始めとする二十五菩薩が来迎され、生きたまま西方極楽浄土へ向かったとされています。
国宝 當麻曼荼羅
當麻曼荼羅は、中将姫が一夜で織り表したという尊い伝説で知られる4メートル四方の大画幅で、極楽浄土の教えが壮麗に描かれています。奈良時代に原本が表されて以来、全国的に絶大な信仰を集め、代々、写本が作られて大切に受け継がれてきました。しかし原本は痛みが激しく、奈良国立博物館で修復されていましたが、平成30年に修復を終えました。
現在は「文亀曼荼羅(重文)」が本堂に祀られ、當麻寺のご本尊として仰がれています。
四天王立像・持国天
持国天立像(重要文化財)
脱活乾漆 像高218.5cm、制作年代:飛鳥時代
當麻寺金堂に安置される四天王像はその他にはない独特の風貌が仏像ファンの間で人気です。法隆寺に次ぐ二番目に古いこの四天王像は、後世の四天王像のように力強く動的な姿とは違い静かな表情で直立しています。一番の特徴はリアルな髭であり、中国成都万仏寺跡出土の天王像に求められるなど、異国風が感じられ、法隆寺の四天王像とも、後世の四天王像とも一線を画しています。
日本最古の梵鐘
梵鐘(国宝)白鳳時代
680年代に鋳造された梵鐘で、在銘で国内最古の妙心寺鐘(698年)よりも古い日本最古の梵鐘として知られています。画像にもあるように鐘楼に吊り下げられているため間近で見ることはできません。
金堂と講堂
當麻寺本堂(曼荼羅堂)の手前には向かい合う様に金堂と講堂が並びます。画像右側が金堂、左側が講堂です。
共に鎌倉時代に再建された重要文化財に指定されたお堂です。金堂には當麻寺の本来のご本尊・弥勒菩薩像を祀っており、行動には阿弥陀如来を祀っています。
拝観の申し込みは本堂にて
二つの塔
東塔・西塔(国宝)奈良時代〜平安時代
當麻寺の二つの三重塔は創建時の姿を残す全国で唯一の塔です。先に建立された東塔は、現在當麻寺に残っている最も古い建物です。また平安時代初期に建立された西塔は東塔とわずかに様式が違います。内陣には大日如来像が祀られています。
練り供養会式
當麻寺春の大祭で、中将姫の現身往生を再現する行事。観音菩薩、勢至菩薩ら二十五菩薩が、現世に里帰りした中将姫を迎えて、極楽へ導くという儀式です。2019年より4月14日に変更されました。
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當麻寺主要寺院
當麻寺では多数の塔頭寺院があります。
【中之坊】
中将姫剃髪の地と伝承され、中将姫の仏法の師である実雅の開基というが、開創の詳しい事情は不明です。吉野町の竹林院、大和郡山市の慈光院と並び大和三庭園の一つとして知られます。
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【西南院】
當麻真人国見が麻呂子親王によって草創された萬法蔵院を、白鳳12年 百済の僧正恵潅を導師に迎え當麻寺として還造した時、坤(裏鬼門)の守の寺院として創建されたのが始まりで、西塔の別当となりました。
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【奥院】
當麻寺最大の塔頭である奥院は、浄土宗総本山知恩院(京都市東山区)の「奥之院」として応安3年(西暦1370年)に建立されました。美しい浄土庭園や當麻寺ゆかりの品を拝見できる宝物館は見応えがあります。
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【護念院】
當麻寺の塔頭寺院の一つで、正式名は「當麻寺紫雲山護念院」と云います。當麻寺本堂の向かって左手に位置します。境内の庭園「双塔園」は牡丹を初め四季折々の花が彩ります。
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【千佛院】
當麻寺の塔頭寺院の一つで阿弥陀如来坐像を本尊とします。千佛院の由来は、千体の仏様を配した厨子の中に、阿弥陀如来が安置されていることによります。本堂前に広がる回遊式特別庭園は牡丹が咲き誇ります。
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【竹之坊】
當麻寺の真言宗五ヶ院の一つ竹之坊です。本尊に役行者を祀り、かつては修験者が修行の祈願のため、必ず立ち寄る場所だったとされています。『葛嶺雑記』には、「御宿坊、真言竹之坊」と記され、葛城の峯入りする者にとっては重要な行所であり、宿泊地でもありました。
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【宗胤院】
當麻寺塔頭寺院の一つで、享禄・天文時代を中心に當麻寺の営繕にたずさわった勧進聖の筆頭、宗胤上人(?-1547)を始祖とする寺院です。大変美しい御朱印をいただける寺院として最近では知られます。※御朱印は要予約
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近くのおすすめスポット
【石光寺】
草創は約1300年前、天智天皇の勅願で建てられ、 役小角の開山と伝えられます。日本最古の白鳳時代の石仏(当時の本尊)と他に瓦や仏せん(せんぶつ)が出土しました。花の寺として知られ、境内には季節ごとに多種多様な花が咲いています。
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【中将堂本舗】
當麻寺に立ち寄った際にぜひお土産にオススメしたいのが中将堂本舗の「中将餅」です。中将堂本舗の中将餅(よもぎ餅)は、当麻の里に昔から伝わる掌大のあんつけ餅を一口の大きさにし、牡丹の花びらを型どったものです。
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アクセス
<住所> 奈良県葛城市當麻1263
<電話> 0745-48-2008
<入山時間> 9:00~16:00
<拝観料> 大人500円・小学生250円
<駐車場> 民間の駐車場あり
自動車をご利用の場合
大阪方面からお越しの場合
西名阪道からは「柏原IC」を下り国道165号を南東に約15分で「當麻寺」交差点へ
南阪奈道からは「葛城IC」を下り県道30号を北に約5分で「當麻寺」交差点へ
「當麻寺」交差点を西に曲がると當麻寺参道へ
名古屋・奈良方面からお越しの場合
西名阪道「香芝IC」を下り国道168号を南へ、香芝警察署を左折、「磯壁」を右折、「良福寺」を右折、「新在家北」を左折して「當麻寺」交差点へ。所要時間約30分
「當麻寺」交差点を西に曲がると當麻寺参道へ
電車をご利用の場合
近鉄南大阪線「当麻寺駅」下車 徒歩にて約15分
JR和歌山線「高田駅」下車 タクシーにて約15分
近鉄大阪線「大和高田駅」下車 タクシーにて約15分