金峯山寺
古来桜の名所として知られ、南北朝時代には南朝の中心地でもあった吉野の金峯山寺は修験道の聖地としてこの山岳地域は修行者で賑わっています。修験道は世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録されており、道の世界遺産は世界に2例しかない貴重な遺産です。本堂である蔵王堂は東大寺に次ぐ大きさで、堂内には三体の秘仏・蔵王権現像が安置されています。
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金峯山寺の歴史
金峯山寺HPより引用
この地である金峯山に役行者神変大菩薩が白鳳年間(7世紀後半)に修行に入り山頂にあたる山上ヶ岳で、一千日間の参籠修行された結果、金剛蔵王大権現を感得せられ、修験道のご本尊とされました。役行者はその姿を山桜に刻んで、山上ケ岳(現:大峯山寺本堂)と山麓の吉野山(現:金峯山寺蔵王堂)に祭祀されます。これが金峯山寺の開創と伝えられています。
その後も修験道の根本道場として大いに栄えましたが、明治の神仏分離廃仏毀釈によって、一時期、廃寺の憂き目を見たことになります。しかし篤い信仰に支えられ、仏寺に復興して、現在では金峯山修験本宗の総本山として栄えています。
本尊 金剛蔵王権現
本尊金剛蔵王権現(重要文化財)
像高:中尊728cm、右の像615cm、左の像592cm 制作年代:1591年
中尊が釈迦如来、右の像が千手観音、左の像が弥勒菩薩を本地とし、それぞれ過去・現世・来世を象徴するとされます。※「本地」とは本来の姿である仏、「権現」は仏が姿を変えて現れたものを指します。
右手に持つ三鈷杵(さんこしょ)は、密教の法具の一つで、魔を打ち砕くものです。それは外の魔はもちろん、私たちの心の中の魔にも容赦はありません。蔵王堂中尊の左手は握り拳ですが、多くの蔵王権現像の左手は二本の指を伸ばした「刀印」を結んでおり、情欲や煩悩を断ちきるという意味があります。高く上げられた足は、魔を踏み砕くためです。肌は青色ですが、それは蔵王権現の大慈悲を表しているとされます。
【公開期間】
令和5年3月24日(土)~令和5年5月7日(日)
国宝 蔵王堂
蔵王堂(国宝)戦国時代
豊臣家の寄進で再興されたもので、扉金具の銘から天正19年(1592年)の建立と判明しています。高さ34m、奥行、幅ともに36m。木造の古建築としては東大寺大仏殿に次ぐ大きさです。内部の柱には、原木の曲がりを残した自然木に近い柱が使われていることが特色で、ツツジ、梨の柱が使用されています。内陣には巨大な厨子があり、本尊として3体の蔵王権現立像(秘仏)を安置します。2階建のように見えますが、実際は1階建で、下の屋根は風雨から構造物を保護するために付けられた裳階(もこし)です。
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愛染堂
愛染明王は、もともとは煩悩〈愛欲や欲望、執着〉を悟りに変えて、菩提心(悟りの境地)にまで導いてくれる力を持つ仏様です。三目六臂(三つの目と六本の腕)をそなえ持ち、憤怒の形相が特徴的です。「愛染」=「藍に染める」という言葉から、染め物屋、アパレル関係者からの信仰も篤いようです。
11月27日 愛染堂において愛染堂大祭が13時より行われます。
脳天大神 龍王院
蔵王堂から400段ほど階段を降りたところにある金峯山寺の塔頭寺院です。脳天大神は金峯山寺初代管長、故五條覚澄大僧正が霊威感得された頭脳の守護神です。覚澄大僧正はお瀧のある修行の場所を探し求められる中、現在、大神様が鎮座されている谷がその最適の場所であると考えられ、その後、行場の開発に取り組まれることとなりますが、その最中頭を割られた蛇に遭遇され、それを哀れに思われて丁寧に経文を唱えられ葬られました。その後、その蛇が何度も夢枕に立たれお礼を言われます。最期には「頭の守護神として祀られたし」と云う霊言を覚澄大僧正は聞かれ、現在の場所に祀られました。
その他境内の様子
金峯山寺の境内は広大で蔵王堂、脳天大神以外にもたくさん見所があります。
【黒門】
金峯山寺総門ですが、金峯山というのは吉野山から大峯山山上ケ岳にかけての一帯を指し、その総門ともなっているそうです。吉野ロープウェイ・吉野山駅からすぐのところにあります。
現存する門は1985年の再興。
【銅鳥居】
「かねのとりい」と読む重要文化財の鳥居です。吉野から大峯山(山上ヶ岳)までの修行道には発心門、修行門、等覚門、妙覚門という、悟りへの4つの段階を象徴した門が設定されていますが、「発心門」にあたるのがこの鳥居です。柱が蓮台の上に立っているのは、神仏習合の名残りです。東大寺大仏を鋳造した際の余りの銅で造ったという伝承がありますが、現存するものは室町時代の再興。
【仁王門】
国宝に指定されている南北時代の山門です。本堂が南を正面とするのに対し、仁王門は北を正面に建っています。これは、熊野から吉野へ(南から北へ)向かう巡礼者と吉野から熊野へ(北から南へ)向かう巡礼者の双方に配慮したためとされています。像高5mほどの金剛力士像が安置されています。
※仁王門は現在修復中です。詳しくは↓↓
蛙飛び
毎年7月7日に行われる蛙飛び行事は県内屈指の奇祭として知られ、大青蛙を乗せた太鼓台が蔵王堂へ練り込み、法要の後、蛙飛びの儀式が行われ、最後に導師の授戒によってめでたく人間の姿に戻る行事です。
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年中行事
1月1日〜3日 | 修正会 |
2月3日 10時〜 | 節分・鬼の調伏式 |
4月10日〜12日 | 花供懺法会・花供会式 |
4月15日 13時〜 | 観音堂大祭 |
6月7日 11時〜 | 高祖会 |
7月2日 11時〜 | 半夏生・大般若経転読 |
7月7日 16時〜 | 蓮華会・蛙飛び行事 |
9月22日 11時〜 | 立宗感謝日・金峯山大五輪塔供養会 |
11月17日 13時〜 | 愛染堂大祭 |
12月14日〜16日 11時〜 | 仏名会・三千仏礼拝 |
12月31日 | 除夜の鐘 |
毎月28日 11時〜 | お護摩の会 |
役行者
『続日本紀』によると役行者は634年、吉祥草寺で誕生されました。
幼少の頃より葛城山(千光寺)で修行するなど山林修行や苦行の末、金峯山上にて金剛蔵王大権現を感得され、修験道の基礎を開かれたと伝えられています。 やがて修行の高まりと共に、強固な精神力と、煩悩を克服した境地に達し、呪術家としての名声は天下に鳴り響りました。
大峰山寺
日本最高所に建つ寺院で世界遺産にも登録されています。創建は7世紀末と伝えられ、役行者が開基とされています。もともとは吉野町の金峯山寺と大峯山寺は一つの寺院とされていましたが現在は別々の寺院になっています。
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近くのおすすめスポット
【吉野神宮】
吉野山の麓にある神社です。奈良県で「神宮」の称号は石上神宮、橿原神宮とこの吉野神宮だけです。比較的新しい神社ではありますが、吉野の名に恥じぬ桜の名所と知られます。
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【吉水神社】
吉水神社から見える「一目千本」は吉野屈指の桜の名所と知られ、豊臣秀吉もこの地で花見をしたという歴史ある神社です。ユネスコ世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』の一部として登録されています。
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アクセス
<住所> 奈良県吉野郡吉野町吉野山
<電話> 0746-32-8371
<入山時間> 8:30~17:00
<拝観料> 大人800円(特別公開時1600円)
<駐車場> 近隣に民間の駐車場あり
<HP> https://www.kinpusen.or.jp/
自動車をご利用の場合
■松原JCT→西名阪→郡山IC→R24
橿原経由R169→吉野大橋→吉野山
■松原JCT→西名阪・柏原IC→R165→大和高田バイパス→
御所香芝線(山麓線・県道30号)→名阪交差点を左折・R309→
吉野口駅付近バイパス→車坂峠交差点を直進→
絵垣本交差点を右折・R169→土田交差点を左折→吉野大橋→吉野山
■富田峠→R309・水越トンネル(水越峠)→名柄交差点を直進・R309→
吉野口駅付近バイパス→車坂峠交差点を直進→
絵垣本交差点を右折・R169→土田交差点を左折→吉野大橋→吉野山
■名古屋方面より→東名阪→名阪国道→IC→R370→三茶交差点を右折→
河原屋西を右折→R169→吉野大橋→吉野山
電車をご利用の場合
近鉄吉野駅→吉野大峯ケーブル自動車吉野山駅から徒歩10分