伝香寺
伝香寺
奈良の市街地にある律宗の寺院です。戦国武将筒井順慶ゆかりの寺であり、奈良三名椿の一つとして知られます。また7月23日に行われる「着せ替え法要」は椿と並ぶ伝香寺の名物で多くの人で賑わいます。
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歴史
寺伝によると、この地は奈良時代に唐より来朝され、唐招提寺を創建された、鑑真大和上の高弟思詫律師が、天平宝亀年間に、唐風の庵を結んだ処で、実円寺と称されていました。
その後1585年、戦国武将の筒井順慶の母である芳秀宗英尼が順慶の菩提を弔うため、香花の絶やさざる寺院の建立を発願、正親町天皇の勅許を賜り、実円寺を再興し伝香寺と号しました。
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本堂と堂内
【本堂】(重要文化財)
天正13年(1585)8月11日 順慶法印一周忌に建立された仏殿で重要文化財に指定されています。三間四方で、向拝虹梁の錫枝彫、内陣の須弥壇等を除き、殆ど和様の様式を持ちます。近世の遺構が余り多くない奈良においては、建立年代の明確な桃山時代の建築物として大変貴重です。
【本尊・釈迦如来坐像】
釈迦如来坐像
宗貞作 天正十三年(1585年)
当寺の本堂の建立と同じ天正十三年に造られ、光背台座も完存しています。作者は下御門仏師の宗貞(そうてい)です。金色身にあらわされ、衣には紋様があしらわれています。均整のとれた体型ですが、顔の表情は宿院仏師のそれとは違います。
【その他】
筒井家歴代御位牌
春日稲荷大明神画像
筒井順慶画像(市文)
家祖筒井順武公画像
収蔵庫と裸形地蔵菩薩
本堂横の収蔵庫に安置される地蔵菩薩は3月12日と7月23日のみ開扉される秘仏です。
【裸形地蔵菩薩立像】(重要文化財)
ヒノキの割矧ぎ造 像高:97.3cm 鎌倉時代
こちらの地蔵菩薩像はかつて興福寺延寿院の本尊であった客仏で「はだか地蔵尊」とも呼ばれています。近年体内納入品が発見され、安貞二年(1228)の発願年記が願文に有り、春日四所明神の本地仏として造立されたことが判りました。鎌倉時代に作例を多くみることができる裸形像の一つで、実際の生地による着衣を着せます。現在でも年に1度は着衣が新調されます。
【地蔵会(着せ替え法要)】7月23日 16時〜
【南無仏太子像】(県文)
木造彩色 像高:70.5cm 鎌倉時代
聖徳太子二歳で、東に向かい合掌して南無仏を称えた姿を写した立像です。当寺像は檜材の寄木造で、玉眼を嵌め、前後二材を寄せ、背面はさらに左右に割矧ぎ、内刳りを施します。体躯は伸びやかで流麗で、顔は一直線の連眉の眥をつり上げる表情が印象的です。胎内に多くの納入品があり、そのうち『法華経』と願文から製作年代と製作者が知られます。
【その他】
筒井順慶念持仏
筒井家伝来仏舎利
弘法大師像
胎内納入品
境内の様子
【伝香寺表門】(県文)
【その他境内の様子】
順慶堂
順慶坐像
由留木(働)地蔵
市守長者の弁財天
筒井家と定次親子の五輪塔
元の定次の墓塔
龍の足が刻まれている石(奈良時代)
大阪城より出現の礎石
中世の供養石仏
南門
名号碑(大永四年銘)
片袖地蔵
散り椿
伝香寺開創の願主となった筒井順慶の母である芳秀宗英尼が堂前に供えた椿が存続(現在三代目)しています。この椿は色まだ盛んな時、桜の花びらの如く散る椿で、その潔さが若くして没した筒井順慶になぞられ「散り椿」又は「武士椿(もののふつばき)」と呼ばれています。
伝香寺の椿は東大寺開山堂「糊こぼし」・白毫寺「五色の椿」と並ぶ奈良三名椿の一つです。
【開花時期】3月下旬 ~ 4月上旬
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年中行事
3月12日 | 本堂内拝観 |
7月23日 | 地蔵菩薩衣更法要 |
近くのおすすめスポット
【率川神社】
奈良市最古の神社である率川神社は「三枝祭(ゆり祭り)」が特に有名です。日本最古の神社として名高い大神神社(桜井市)の境外摂社として創建された歴史があります。
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【漢國神社】
率川神社から200mほど進んだところにある漢國神社は593年に創建創建された古社です。境内には日本唯一の饅頭の社「林神社」があり、4月19日の饅頭祭りでは饅頭が振る舞われます。
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アクセス
<住所> 奈良県奈良市小川町24
<電話> 0742-22-1120
<拝観料> 300円(椿の時期は400円)
<拝観時間> 9:00~17:00
<駐車場> 有料駐車場あり
電車でお越しの場合
近鉄奈良駅・JR奈良駅から徒歩10分