浄瑠璃寺



浄瑠璃寺

奈良県と京都府の県境にある真言律宗の寺院です。住所は京都府ですが、古来より南都仏教の聖地として栄えたため奈良の文化が色濃く残ります。国宝の建造物に国宝の仏像など静かな境内でありながら見どころ盛りだくさんの寺院です。

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浄瑠璃寺

歴史

詳しい創建年は不明ですが、一説には行基によって開基された説や、永承2年(1047年)に義明上人が薬師如来を本尊として小さな堂を建てたのが浄瑠璃寺の始まりとする説があります。寺名は創建時の本尊である薬師如来の浄土である浄瑠璃世界から付けられました。

伽藍配置

浄瑠璃寺の伽藍配置は、池を中央にして東に薬師如来を祀る三重塔、西には阿弥陀如来九体を祀る本堂があります。古い寺院の金堂(本堂)や都の大極殿では南面が原則ですが、平安時代の中頃から、阿弥陀如来を東面に祀りその前に池を造る型が出てきました。例)平等院

また法隆寺では東に薬師如来、中央に釈迦如来、西に阿弥陀如来の三如来が南面に祀られています。

九体佛

九体阿弥陀如来像(国宝)

寄木造 像高:224.0cm(中尊)、139cm〜145cm(脇仏8体)藤原時代

現在の本尊で古くから残る九体佛は日本で唯一のものです。「観無量寿経」にある上品〜下品までの九品往生の考えから九体祀っています。中尊だけ丈六仏、脇仏8体は一回り小さく半丈六仏となっています。中尊の仏像の特徴が平等院鳳凰堂に安置される定朝作の阿弥陀如来像と酷似していることからこちらの阿弥陀如来像も定朝の作とされていますが、正しいことは不明です。

現在修復中につき九体佛全ては見れません(2体ずつ修復中)

秘仏・吉祥天女立像

九体佛と並ぶ浄瑠璃寺の人気仏像がこの吉祥天女立像です。薬師寺の吉祥天と並ぶ最高傑作の吉祥天像として知られます。本堂に安置されていますが、基本的に秘仏であるため滅多に見ることができません。しかし秘仏であったため保存状態は良く、色彩がはっきり見えます。

吉祥天女立像(重要文化財)

檜材割矧ぎ造 像高90cm、鎌倉時代

吉祥天とは豊かな暮らしと平和を授ける幸福の女神です。南都の寺々では正月にそういう祈願の法要をする伝統があり、吉祥天のの仏像が多く祀られています。この吉祥天は造立時などの記録はなく、1212年に本堂へ祀られた記録しか残っていないなど多い仏像です。

【ご開帳日】
1月1日〜1月15日
3月21日〜5月20日
10月1日〜11月30日


三重塔・薬師如来像

三重塔(国宝)高さ:約16m、藤原時代

本堂から宝池を挟んだ対岸に建つのが三重塔です。寺伝によると治承二年(1178)に京都一条大宮から移されてきたものです。初層内は扉の釈迦八相、四隅の十六羅漢図(重文)など、装飾文様で壁面が埋められています。かつては仏舎利を納めていたと考えられていますが、当寺に移築後は秘仏薬師如来像を安置しています。

【薬師如来坐像】

薬師如来坐像(重要文化財)

一木割矧ぎ造 像高:85.7cm、藤原時代

こちらの像は九体佛より60年ほど前に造顕された創建当初の本尊とされています。現在は東の本尊とされており、太陽の昇る東にいて遣送の如来ともいわれています。

全ての秘仏公開

毎年1月8日〜10日に行われる秘仏公開では浄瑠璃寺全ての秘仏が公開されます。特に大日如来、弁財天、地蔵菩薩像を祀る灌頂堂や地蔵堂はこの日を含む1月8日〜10日の3日間だけ公開されるため本当に貴重です。

【大日如来】

大日如来像

像高:60.7cm、平安末期〜鎌倉時代

江戸時代初期に建てられた灌頂堂の本尊です。宇宙生命の親とも言われる如来で全ての如来の中で最も尊いとされています。平成18年の修復により江戸期の金箔を取り除き、現在の姿となりました。その技法や表情などから慶派の仏師による作と考えられています。

【開扉日】1月8日〜10日

庭園と紅葉

池を中心とした浄瑠璃寺の庭園は興福寺の僧であった伊豆僧正恵心が1150年に入寺し、伽藍の整備にあたった頃に造られました。鎌倉時代のはじめに石を立てるなどの補強はあったものの、その後はほとんど手を加えられていないほぼ当時の姿をしています。

また紅葉の名所と知られ、池越しに見える三重塔や本堂の美しさは時間が止まったようにも思えます。



近くのおすすめスポット

【岩船寺】

浄瑠璃寺から車で10分ほどにある行基開基を伝える古寺です。本尊の阿弥陀如来坐像は重文に指定され、平等院や浄瑠璃寺の阿弥陀如来坐像より100年以上前に製作された貴重な仏像です。紫陽花の名所としても有名です。

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岩船寺

【応現寺】

奈良県と京都府の境にある応現寺は平安時代に製作された、消失する前の興福寺南円堂の不空羂索観音像とよく似ている不空羂索観音像(重要文化財)を保有しています。現在は無住の寺院であるため、毎月第一日曜日に特別公開されます。

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応現寺

アクセス

<住所> 

<電話> 0774-76-2390

<拝観時間> 9時〜17時(12月〜2月は10時〜16時)

<拝観料> 400円(特別公開時を除く)

<駐車場> 民間の駐車場あり

電車・バスでお越しの場合 ※バスの本数に注意
近鉄奈良駅、JR奈良駅から奈良交通バス「浄瑠璃寺前」下車
JR加茂駅から木津川コミュニティバス当尾線「浄瑠璃寺前」下車



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